食べることが好き。
それは紛れもない事実ですが、夕食の献立を考えることは一筋縄でいかない。
きっと我が家だけではないはず、と思います。
我が家は夫婦で日によって食事作り担当を変えて行っていますが、それでもバリエーションに毎度悩みます。
好みを考えて好きな物を出しても、まるきし食べられないときもある(←娘に)。頻繁に出して飽きてしまったのか(笑)
と思いきや、ぺろりと完食して「おかわり!」と元気に言われたり。もうそれだけで親は祝杯気分です。
そんな翻弄される食事作り当番は全国に数知れずではないでしょうか。
様々な経験や感情を丸めこみながら、毎日の夕食づくりのため立ち続けていかなければならないキッチン。
住宅設計の仕事においても、キッチンのお話をするときには、収納量やキッチンから子供の様子が伺えるかどうかといったことは必ず通る質問ポイント。
作り方によってはコストの影響も大いに受ける場所でもありますし、使い勝手や機能性の話がメインにおのずとなっていきます。
ただそれに終始せずプラスして、キッチンに立つ人が「お気に入り」と感じられそうかも大事な一つと考えます。
我が家の私の場合は、窓から感じられるアウトドアの明るさと、気持ちをリセットして迎えられる整然としたキッチンの様子、これらが私の気分上げ上げポイント。
それまで悩んでいた気持ちも、明るさと整然としたキッチンの前に立つと、調理時にはまっさらに心切り替わり、覚悟が生まれます。
いざ!と。別に戦場ではないのですが(笑)
キッチンの先に自分を満たしてくれる何かがあること。
人によって様々なポイントがあると思います。
会話しながらその機微を図面やスケッチに表現して、積みかさねて設計をしていきます。
これは基本設計中だったときの「小さな土地の2階リビングの家」のキッチン周りのラフのイメージスケッチ。
キッチンは家族で使えるように、というご要望を踏まえ考えながら。
家族で使える、という言葉の先に思い浮かんだのは、家族の話し声。
キッチンはダイニングに、ダイニングはリビングに、と人をつなぐようにスペースをつなぐ計画にしました。
キッチンは仮に毎日の苦行(くじ引きのような楽しみともいう(笑))があっても、喜びも多い場所であってほしい。
今日は食べてくれるだろうか、と私も思いながら、夏至に近づいた明るい夕方、外に緑が望める好きな場所、キッチンに向かいます。