ほたての貝殻を使って左官材料を作っている会社が北海道の伊達市にあります。
「小さな土地の2階リビングの家」ではこの「ほたて漆喰」を内壁に多用したおうちになっています。
内装材を検討しているときに、製造会社である伊達市のあいもり株式会社さんへ問い合わせし、サンプルを取り寄せました。
サンプルを取り寄せてみると、その質感がマットで細かなザラザラ感があり、なにより触った感じがトゲトゲしくなく、非常に肌さわりも見た印象も良い様子だったため、「小さな土地の2階リビングの家」の建て主さんへ早い段階でご提案したことを思い出します。
特に「ほたて漆喰スムース」というシリーズは、部屋の中で主張しすぎることがない、けれども、よく見ると表情が少しある、静かで素朴な印象を持っていました。
「ほたて漆喰スムース」は、北海道のほたての貝殻を粉砕し約500℃焼かれたものと固化材の消石灰がメインで、食品でも使われる糊剤やつなぎ材が微量含まれてできている左官材料です。
ほたてですが、粉にも仕上がり壁にも磯の香りはありません(笑)
メンテナンスでタッチアップしても跡が目立ちにくいのが嬉しいところ。
「小さな土地の2階リビングの家」では、「ほたて漆喰スムース」というシリーズの素地を使いました。
素地、つまり素の色。着色をしていない素材そのものです。
塗る前の粉としての材料は少し灰色味や黄色味があるような感じもしますが、壁に塗られると、青白くない白色、生成りほどではないけど優しい白色。
お寿司をはじめ、海鮮は大好物なわけですが(私がですが(笑))、あのほたての貝殻が壁になる、というのがまた嬉しい発見で。
壁の先が海と繋がっているような、そんなもうひとつの暮らしの風景が、自分の暮らしている家の素材から見えてくる。
家の先の世界を想像できる材料を使って家を建てたなら、今いる場所ではない場所の風景ともつながりを感じられる家が出来てくるのではないかと私は考えています。
実際、家を作ることで、多くの地域、材料や人と関わりを持ちます。
それが良い連鎖となって、建て主さんはじめ様々な方のより良い毎日に繋がっていきますようにと願います。