地震の備えは、、、というと防災グッツや備蓄品の把握が思いつくところ。
家で言うと、地震といえば耐震性、と言うのがまず頭に浮かぶキーワード。
4月下旬に新潟県で行われた「震度7でも住み続けられる家を考えよう」というセミナーをオンライン聴講しました。
どんな人でもウェルカム、垣根を越えて住まいを考えよう、学び合っていこうという、なんとも懐の深い方々が主催している住まいの学校「住学(すがく)」が主催したセミナーです。
昨年は杜建築アトリエの事務所内で耐震性を構造計算(許容応力度計算)で確認するという方針をあげ、研鑽を重ねていたのですが、その時に大変お世話になった方も、住学を立ち上げられたネイティブディメンションズ一級建築士事務所の鈴木さん。
鈴木さんは新潟市で小さな家を専門に設計事務所を行なっていて、構造に限らず全方位に突き詰めて小さな家を設計している方です。
とても気さくで親切で、私が構造のあれこれを質問しても笑顔で答えてくれる、非常に非常に非常に(何度も言いたくなるくらい)有難い方なのです。
鈴木さんには本当に本当に(ここでも何度も言いたくなるくらい)お世話になり、ありがとうございました。
本題の前置きが少し長くなってしまいましたが、、、
住学の今回のセミナーでは、構造専門家の方々から、建物と地震の関係、地震の備えについてお話がありました。
復習と発見と驚きと、アッという間のセミナー時間でした。
復習というのは、、、木造の構造計画の大事さをイメージできたことでした。
木造は、柱梁や板材に金物や釘を留めていくことで、耐震壁などを作っていきます。
地震がくると地面が揺れ、それに伴って建物が揺れるわけですが、大きめな地震が起こると揺れに伴って木材や板を固定していた金物や釘の保持が緩んでしまうことがあります。
揺れが収まったとしても、固定度が落ちてしまっているため、地震前と同じ状態(耐震性能)ではないと考えられます。
今のところ、耐震等級でいうと3が最高位ですが、そんな耐震等級3でも同じ事が起こります。
大きい地震を数度重ねてしまうと、最高位の建物だって地震に耐えられるとは限らない。
そして、万が一、地震の周期と建物の揺れの周期が一致してしまうと、建物は共振してしまい、一度の地震でも損傷度合いが大きくなってしまう可能性もあります。
そのことをセミナー内で解説をされていました。
「じゃあ、どうしたらいいんだ!」ということなのですが、設計者の私に出来ることは、
「バランスの良い構造計画を行い、なるべく揺れにくい設計をすること。計画通りに施工されているかを監理を行っていくこと」
だと改めて思うに至りました。
変形が少なく設計されれば、そうではない建物より、建物全体の損傷の程度も抑えられる可能性があり、大事な家に住み続けられる可能性が高くなる。
バランスを考えた計画をし、そのうえで許容応力度計算による構造設計で、建物の重さや硬さ、雪の重さも踏まえて、建物の構造的なバランスが良いかを確認する。
それらが杜建築アトリエで出来ること、大事にしたいことだと再確認したのでした。
そして、、、発見と驚きとは何だったかというと、、、地震後の建物の安全性をみえる化するものが開発されているということ。
大地震後、余震状態になり自宅へ一時帰宅した方でも、耐震性能が下がった状態である建物が次の地震で耐えられなくなり建物が倒壊、死亡につながる、ということが起きています。
今回は、地震が起こった際に建物の揺れやすさを測った上で、「どのくらい次の地震に耐えられそうか」をみえる化してくれると画期的なシステムが紹介されていました。
地震後即時に診断、みえる化される(お知らせが来る)、ということで、かなりの驚きでした。
開発者そして技術の進歩は凄いです(もう語彙力がたりなくてすみません、、、)
平常時に既存住宅の耐震診断を行えたりはしますが、地震後即時に知らせてくれるものはこれまで聞いたことがありませんでした。
地震が比較的頻発する傾向にある地域、近い将来大きな地震がくるかもしれないと言われる地域では特にこういうシステムがあると、普段の安心材料になるだろうし、多くの人命が救われる可能性があるだろうととても感じます。
居心地の良い住まいは、構造への安心さもその要素のひとつと思います。
重ねてになりますが、今後も設計者の私にできる、
「バランスの良い構造計画を行い、なるべく揺れにくい設計をすること。計画通りに施工されているかを監理を行っていくこと」
を大事に考え、長く使い続けてもらえる家を設計監理していきたいと思います。